到達目標について

「ベーシックコース」(基本習熟コース)については、研修歯科医自らが確実に実践できることが基本であり、
臨床研修修了後に習熟すべき「アドバンスドコース」(基本習得コース)については
頻度高く臨床において経験することが基本である。

1.ベーシックk-ス(基本習熟コース)

【一般目標】
個々の歯科医師が、患者の立場を理解し、患者の希望に配慮した歯科医療を提供するために、基本的な歯科診療に必要な臨床能力を身につける。

■医療面接

[一般目標]
患者中心の歯科診療を実施するために、医療面接についての臨床能力を身につける。
[行動目標]
  • コミュニケーションスキルを実施する。
  • 病歴(主訴、現病歴、既往歴及び家族歴)聴取を的確に実施する。
  • 病歴を正確に記録する。
  • 患者の心理・社会的背景に配慮する。
  • 患者・家族に必要な情報を十分に提供する。
  • 患者の自己決定を尊重する(インフォームドコンセントの構築)。
  • 患者のプライバシーを守る。
  • 患者のQOLに配慮する。
  • 患者教育と治療への動機づけを行う。
  • 指導歯科医へ正確な情報を伝達する。

■総合診療計画

[一般目標]
客観的な根拠に基づく効果的な歯科診療を行うために、基本的な各種検査手段と診断技術並びに総合診療計画の立案に必要な知識、態度、技能を身につける。
[行動目標]
  • 全身及び口腔領域の医療情報を十分収集する。
  • 各種検査の必要性とリスクを説明する。
  • 基本的な診察・検査を実践し、その所見の判断をする。
  • 得られた医療情報を基に診断する。
  • 適切と思われる治療法及び別の選択肢を提示する。
  • 診察・検査、治療法およびその予後を分かりやすく患者に説明する。
  • 十分な説明による患者の自己決定を確認する。
  • 他の医師・歯科医師や医療従事者との連携を考慮する。
  • 一口腔単位の総合診療計画を作成する。

■予防・治療基本技術

[一般目標]
歯科疾患と機能障害を予防・治療・管理するために、必要な基本的技術を身につける。
[行動目標]
  • 基本的な予防法の手技を実施する。
  • 基本的な治療法の手技を実施する。
  • 医療記録を適切に作成する。
  • 医療記録を適切に管理する。

■応急処置

[一般目標]
一般的な歯科疾患に対処するために、応急処置を要する症例に対して、必要な臨床能力を身につける。
[行動目標]
  • 疼痛に対する基本的な治療を実施する。
  • 歯、口腔及び顎顔面の外傷に対する基本的な治療を実践する。
  • 修復物、補綴装置等の脱離と破損及び不適合に対する適切な処置を実践する。

■高頻度治療

[一般目標]
一般的な歯科疾患に対処するために、高頻度に遭遇する症例の治療に必要な臨床能力を身につける。
[行動目標]
  • 歯周疾患の基本的な治療を実践する。
  • う蝕の基本的な治療を実践する。
  • 歯髄疾患の基本的な治療を実践する。
  • 抜歯術の基本的な手技を実践する。
  • 咬合・咀嚼障害の基本的な治療を実践する。
  • 小児患者における基本的な治療を実践する。

■医療管理・地域医療

[一般目標]
歯科医師の社会的役割を果たすために必要となる医療管理・チーム医療・地域医療に関する知識、態度、技能を身につける。
[行動目標]
  • 保険診療を実践する。
  • 保険診療の内容を記載する。
  • 診療報酬を算定する。
  • チーム医療を実践する。
  • 地域医療を説明する。

【一般目標】
生涯にわたる研修を行うために、幅広い医療についての知識、態度、技能を習得する姿勢を身につける。

■救急救命処置(協力型施設)

[一般目標]
歯科診療で起こりうる緊急事態に対応するために、必要な救急救命処置に関する知識、態度、技能を習得する姿勢を身につける。
[行動目標]
  • 成人、乳児、小児の一次救命処置、気道異物の除去、AEDの使用ができる。
  • バイタルサインを測定できる。
  • 末梢静脈路確保ができる。
  • 成人、乳児、小児の二次救命処置を説明できる。

■医療安全・感染予防

[一般目標]
円滑な歯科診療を実施するために、必要な医療安全・感染予防に関する知識、態度及び技能を習得する。
[行動目標]
  • 医療安全対策を説明できる。
  • アクシデント及びインシデントを説明する。
  • 医療過誤について説明する。
  • 院内感染対策(standardprecautionsを含む)を説明する。
  • 院内感染対策を実施する。

■経過評価管理

[一般目標]
自ら行った歯科診療の経過を観察評価し、安定した予後を確立するために、診断及び診療に対するフィードバックに必要な知識、態度を習得する。
[行動目標]
  • リコールシステムの重要性を説明する。
  • 歯科診療の結果を評価する。
  • 歯科診療の予後を推測する。

■医療管理

[一般目標]
適切な歯科診療を行うために、必要となる医療管理に関する知識、態度、技能を習得する。
[行動目標]
  • 歯科医療機関の経営管理を説明する。
  • 必要に応じた医療情報の収集を行う。
  • 適切な放射線管理を実践する。
  • 医療廃棄物を適切に処理する。
  • 電子媒体を使用した医療記録について説明する。
  • 電子媒体を使用した診療報酬の算定を説明する。

■地域医療

[一般目標]
歯科診療を適切に行うために、地域医療に必要な知識、態度及び技能を習得する。
[行動目標]
  • 地域歯科保健活動を説明する。
  • 歯科訪問診療を説明する。
  • 歯科訪問診療を体験する。
  • 医療連携を説明する。

■医療連携(協力型施設)

[一般目標]
病院内における他職種のスタッフとの連携のために、口腔領域の専門家としての知識、態度を習得する。
[行動目標]
  • 医科から歯科診療上必要な情報を得ることができる。
  • 口腔管理(口腔ケアなど)を理解し、説明できる。
  • 歯科疾患と関連する全身疾患について概要を説明できる。

【一般目標】
個々の歯科医師が、行政及び社会福祉施設に対する理解を深め、患者に求められる歯科医療を提供するために、管理型施設において以下の項目の習熟を目指す。

■訪問歯科診療研修(介護保険を含む)

[一般目標]
円滑な訪問歯科診療を実践するために、必要な知識、態度及び技能を習得する。
[行動目標]
  • 訪問歯科診療のさまざまなケースを経験する。
  • 介護保険制度全体を説明する。
  • 居宅療養管理指導を説明する。
  • 居宅療養管理指導を体験する。
  • 介護保険における医療記録と診療報酬の算定を説明する。
  • 他の医療職との情報の共有化を進める。

■特別養護老人ホーム研修

[一般目標]
円滑な多職種連携のために、介護保険施設における入所者と施設職員への理解を深める。
[行動目標]
  • 介護保険施設の役割を説明する。
  • 入所者と施設職員の関係を説明する。
  • 医療と福祉の関係を説明する。
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